クローズドリサイクルとは?水平リサイクルとの違いと、オフィスの紙で始める資源循環

株式会社WELL(ウェル) 営業部

企業の資源循環への取り組みオフィスから毎日のように出る、コピー用紙や書類などの古紙。
分別して回収に出しているものの、その先でどのように生まれ変わっているのかまで意識する機会は、意外と少ないのかもしれません。
近年、企業の資源循環への取り組みが注目され、「クローズドリサイクル」という仕組みにも関心が集まっています。段ボールなどで導入事例が見られる一方、オフィスから出る紙や機密文書でも可能なのでしょうか。

今回は、クローズドリサイクルの基本から、水平リサイクルやオープンループリサイクルとの違い、企業の導入事例までを整理します。
さらに、オフィスから出る紙や機密文書を資源循環につなげる方法についても紹介します。          

クローズドリサイクルとは?自社の廃棄物が自社の製品に戻る仕組み

クローズドリサイクルの特徴

クローズドリサイクルとは、自社から排出した使用済み資材を回収・再原料化し、再び自社が使う製品に戻す仕組みです。生産から使用、回収、再資源化までの輪が、自社の中で閉じている状態を指します。
一般的なリサイクルでは、使用済みの資材を回収して再資源化した後、別の企業や製品に生まれ変わることがあります。たとえば、自社から出た古紙が回収され、別の事業者が使う紙製品の原料になるケースです。

一方、クローズドリサイクルでは、再資源化した資源が再び自社で使われるところまでを循環として考えます。
「使い終わったものを回収する」だけではなく、「回収したものが、何になって、どこへ戻ってくるのか」までを設計する。ここが、クローズドリサイクルの大きな特徴です。

 

水平リサイクル・オープンループ・カスケードとの違い

水平リサイクル・オープンループ・カスケードとの違い

クローズドリサイクルと似た言葉に、「水平リサイクル」「オープンループリサイクル」「カスケードリサイクル」があります。
これらは、リサイクルされた資源を「どこへ戻すのか」
、そして「どのような品質や用途で再利用するのか」という、異なる視点から捉えた言葉です。

まず、「クローズド/オープン」は、再資源化した資源が「どこへ戻るのか」を表す経路の軸です。
自社から出た機密文書をリサイクルし、その紙を原料とする環境製品を自社で購入すれば、再資源化した資源が再び自社に戻るため「クローズド」と考えられます。
一方、自社から出たコピー用紙を再生し、別の企業などで使われる紙袋にする場合は、自社には戻らないため「オープンループ」です。

一方、「水平/カスケード」は、再資源化した資源を「どのような品質や用途で再利用するのか」に着目した品質・用途の軸です。
例えば、使用済み段ボールを再び段ボール原紙として利用するのは「水平リサイクル」、雑誌や雑紙を再生して段ボールの間にある波型の芯部分・中芯(なかしん)として利用するのは「水平/カスケードリサイクル」の一例です。

このように「どこへ戻るのか」という経路の軸と、「どのように再利用するのか」という品質・用途の軸は、別々に考えることができます。
そのため、クローズドリサイクルと水平リサイクル、オープンループリサイクルとカスケードリサイクルなどを、単純に同じカテゴリーの言葉として比較するのではなく、
「どこへ戻るのか」と「どのように再利用するのか」の2つの軸で整理すると、それぞれの違いが分かりやすくなります。

 

クローズドリサイクルの3つのメリット

クローズドリサイクルのメリット

クローズドリサイクルには、資源を循環させることに加えて、企業の廃棄物管理やコスト面でもメリットがあります。主なメリットは次の3つです。

1.資源循環の取り組みを数字で説明できる
自社から出した資材の量と、再資源化されて再び自社で使われる量を対応させることで、資源循環の実績を数字で示しやすくなります。
「リサイクルに取り組んでいる」というだけでなく、どれだけの資源を排出し、どれだけ循環させたのかを具体的に説明できることがメリットです。

2.廃棄コストや調達価格が安定しやすい
自社で出した資材を回収し、再び利用する仕組みをつくることで、古紙市況など外部の市場環境による影響を受けにくくなることが期待できます。
廃棄にかかるコストと、再生資材の調達価格の安定につながることもメリットです。

3.大きな設備投資をせずに始められる
クローズドリサイクルというと、大規模な設備や新しい生産ラインが必要だと思うかもしれません。
しかし、必ずしも自社でリサイクル設備を用意する必要はありません。既存の回収・再資源化の仕組みや専門事業者を活用することで、
まずは1拠点から取り組むといった始め方もできます。

 

始める前に知っておきたい2つの注意点   

クローズドリサイクルの注意点

クローズドリサイクルは、使用済み資材を資源として循環させる仕組みですが、何でもそのままリサイクルできるわけではありません。

特にオフィスの紙を対象にする場合は、古紙としてリサイクルできない紙があることと、環境への取り組みを発信する際には具体的な根拠が重要であることに注意が必要です。

 

古紙としてリサイクルできない紙がある

オフィスで使われる紙の中には、古紙としてリサイクルするのに適さないものがあります。たとえば、感熱紙、写真、合成紙、粘着物が付いた紙などです。
こうした紙は「禁忌品」と呼ばれ、製紙原料として適さないものがあります。これらが古紙に混ざると、再生紙の品質や製紙工程に影響する可能性があります。
そのため、クローズドリサイクルを始める際には、
何を回収対象とし、何を対象外とするのかをあらかじめ確認することが大切です。

「紙だから古紙」と一括りにするのではなく、適切に分別することが、資源を循環させるための基本となります。

 

「環境にやさしい」とは書けなくなった

企業が資源循環への取り組みを発信する際、「環境にやさしい」「持続可能」といった言葉だけでは、その取り組みの実態や効果が伝わりにくくなっています。
2026年3月、環境省は環境表示に関するガイドラインを改定しました。環境に配慮していることを示す場合には、その主張の根拠や対象範囲を明確にすることが厳しく求められています。

資源循環についても、「環境にやさしい」と伝えるだけでなく、何をどれだけ回収し、どのように再資源化したのかなど、具体的な事実や数値で説明することが重要です。
クローズドリサイクルであれば、自社から出した資源と再び戻ってきた資源を把握しやすいため、こうした具体的な実績を示すことにもつながります。

 

企業の導入事例

クローズドリサイクルの導入事例

クローズドリサイクルは、実際にさまざまな企業で取り入れられています。
ここでは、自社から出た紙資源を回収し、新たな製品や資材として活用している事例を見てみましょう。

①丸紅とファンケル
ファンケルの物流センターから出る使用済み段ボールを回収し、古紙100%の再生紙を使った紙袋へと生まれ変わらせています。2023年4月から、ファンケルの直営店舗や通信販売で使用されています。


②帝国書院
自社で発行した教科書や返本を回収し、再び用紙の原料として活用する取り組みを2025年9月から開始しています。


③コクヨグループ(カウネット)
事業所から出る使用済みコピー用紙などの古紙を再資源化し、名刺や封筒へと活用する取り組みを行っています。2026年8月には、古紙パルプ配合率50%の封筒用紙として活用する事例も発表されています。

このように、クローズドリサイクルは段ボールなどの物流資材だけでなく、教科書やコピー用紙など、企業活動の中で日常的に発生する紙資源にも広がっています。

 

オフィスから出る機密文書でも、クローズドリサイクルはできるのか

オフィスから出るコピー用紙や機密文書も、適切に回収・処理することで、紙資源としてリサイクルできます。
では、機密文書はリサイクルされたあと、実際に何へ生まれ変わっているのでしょうか。

 

機密文書は溶解されたあと、何になっているのか

機密文書は、溶解処理によって紙の繊維をほぐし、製紙原料として再利用することができます。
公益財団法人古紙再生促進センターの資料によると、オフィスから出る機密文書は、
段ボール箱やお菓子箱(白板紙)、トイレットペーパーの原料として利用されています。

つまり、機密文書は「情報を抹消して終わり」ではありません。適切に再資源化することで、新たな紙製品の原料として、もう一度活用することができるのです。

情報管理と資源循環を両立する方法の一つが、溶解によるリサイクルです。

(出典:公益財団法人 古紙再生促進センター 『オフィス発生古紙のリサイクル』)

 

シュレッダーで細かくすると、紙のリサイクルには不利になる

資源循環を考慮したリサイクル方法

機密文書を処分する方法として、オフィスでよく使われているのがシュレッダーです。
情報漏洩を防ぐうえでは有効な方法ですが、
資源循環という視点では、紙を細かく裁断することがリサイクルに影響する場合があります。
紙は繊維からできており、シュレッダーで細かく裁断するほど、紙の繊維が断ち切られ、再生紙の原料として品質が低下してしまいます。リサイクルするうえでは、繊維長は長いほど製紙原料として適しているとされています。
(出典:エコマーク商品類型『機密文書処理サービス Version1』認定基準の解説)

そのため、機密文書を裁断・破砕して処理する場合は、機密性を保てる範囲で、できるだけ大きく裁断・破砕することが、リサイクルの観点では重要です。
機密性を高めるために細かく裁断することと、紙資源としてリサイクルしやすくすることには、両立が難しい部分があります。
機密文書を処理するときは、「情報を守る」だけでなく、「その後、紙資源としてどう循環させるか」という視点から処理方法を選ぶことも大切です。

 

WELLの機密文書リサイクルという選択肢

 

WELLの機密文書リサイクル

機密文書を処分する際は、情報漏洩を防ぐことと、処分後の資源循環を両立することが重要です。

WELLでは、機密文書の回収から処理までを一貫して行い、情報を守りながら紙資源のリサイクルにつなげています。
機密文書は未開封のまま粉砕処理するため、処理前に文書の中身を確認する工程がありません。ホチキスやクリップが付いた書類も、そのまま粉砕処理するため、事前に外す必要がありません。
処理した日時や数量などを確認できる
機密抹消証明書を発行することもできます。処理実績を社内で管理したり、監査などの際に確認できる資料として活用したりすることが可能です。
さらにリサイクルした紙を原料とする
トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ペーパータオルなどの環境製品も取り扱っています。
そのため、自社から出た機密文書を回収・リサイクルし、その後、こうした環境製品を自社で購入することで、
自社から出した紙資源が、再生された製品の一部として再び自社で使われるという循環をつくることができます。

また、環境製品をどれだけ納品したか、納品した製品にどの程度古紙が使用されているかを示す「リサイクル納品証明書」を発行することも可能です。

リサイクル納品証明書

どのくらいの製品を納品したのか、その製品にどの程度の割合で古紙が使用されているのかを証明することで、リサイクルの取り組みを具体的な数字で確認できます。

クローズドリサイクル

例えば 、機密文書をリサイクルした紙を使って再生ノートをつくり、小学校に配布したいという相談もあり、企業の要望に応じて、回収した機密文書をどのような製品に生まれ変わらせ、どこで活用するのかまで伴走いたします。
機密文書を、安全に処理し、紙資源としてリサイクルする。さらに、その資源から生まれた環境製品を自社で利用することで、回収から再利用までを自社につなげるクローズドリサイクルも実現できます。

 

まとめ:まずは自社の紙がどこへ行っているかを知ることから

クローズドリサイクルは、必ずしも大がかりな設備や新たな生産ラインを用意することから始める必要はありません。
まずは、
現在オフィスから出している紙が、どこへ運ばれ、どのように処理され、その後何に生まれ変わっているのかを知ることから始められます。
特に機密文書は、情報漏洩を防ぐことを優先するあまり、資源としての行き先まで意識する機会が少ないかもしれません。
しかし、適切な方法で処理すれば、機密文書も段ボールやトイレットペーパーなどの原料として再利用できます。

自社でどのような紙が発生しているのか、そしてその紙が処理後にどこへ向かっているのかを確認してみましょう。
「捨てる」だけで終わらせず、その先の循環まで考えることが、オフィスから始める資源循環の第一歩です。


株式会社WELL(ウェル) 営業部

ビジネスの中で廃棄される機密書類や、不要になった古紙などを、迅速な回収、安全な再資源化を行なう機密書類処理のリーディングカンパニーの営業部です。