WELLが事例を載せない理由 ~私たちが「顔出し実績」を控える真の理由~

株式会社WELL(ウェル) 営業部

「他社はたくさん事例を出しているのに、なぜWELLは出さないのか?」
私たちはこれまで、そうしたご質問を何度もいただいてきました。
確かに、企業の信頼性や導入効果を示す手段として、事例公開は非常に有効です。
中には「事例が出ていない=実績がないのでは」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、私たちは“あえて”出していません。その理由は単純です。
顧客企業の名前を使って自社をアピールすることよりも、その企業の業務が情報漏洩などの危険にさらされることなく、安全に行われることを最優先に考えているからです。
今回は、私たちが「事例を載せない」という選択をしている理由と、それに込めた想いをお伝えします。

実績を載せないのは「ない」からではありません

WELLではこれまで、金融機関、医療法人、教育機関など、幅広い業種の企業・団体とお取引を重ねてきました。累計の処理件数や導入企業数も、実績として確かなものがあります。
また、セキュリティ体制を評価していただいたことをきっかけに、多くのお取引先様と長期契約を結んでいます。

実績はあるけど「あえて載せていない理由」

私たちはそうした「誰と取引したか」「どの企業に導入されたか」といった情報を、営業のアピール材料としてホームページに掲載することを控えています。
他社では、事例紹介ページやインタビュー記事を通じて自社サービスの有効性を語ることが一般的になっています。
もちろん、それらの情報を出せば、「安心感」や「信頼性」がより伝わりやすくなることは確かです。
私たちは「あえて載せない」という道を選びました。それは、WELLが「情報を扱うプロフェッショナル」として、お客様との信頼のために沈黙を守ることを最優先しているからです。

実績は、声高に語らなくても存在します。むしろ、「載っていないこと」こそが、守秘義務を徹底している何よりの証だと考えています。

顧客第一主義とは「沈黙のセキュリティ」である

WELLが最も大切にしているのは、「お客様からお預かりした機密情報を、目立たず・静かに・確実に抹消すること」です。
これはBtoBのセキュリティ事業において、何よりも重要な価値だと考えています。
そして何よりも私たちが取り扱うのは、
「機密書類」という点です。
「機密」とは、紙の中身だけを指す言葉ではありません
「いつ」「どこで」「誰が処理したか」
―このすべての情報が機密にあたります。

たとえば、情報を運搬するトラックに「機密書類運搬中」と堂々と掲示されていたらどう感じるでしょうか?
機密書類がここにあるという事実をさらすことは、セキュリティの欠如をさらけ出してしまっています。
それはまるで自分が欲しいものを確実に奪っていくルパン三世に、宝物の在り処を教えているようなものです。

その点、WELLではほとんどの車両は協力会社の社名のみ記載の車両です
協力会社の社名で走ることで、どの企業が回収対象なのか、外部からは分からないようにしています。
もしも、ビジネス街の駐車場に「WELL」と記載された車が停まっていれば、回収先の企業が即座に特定され、他社に営業する理由を与えてしまうことも考えられます。
そうしたリスクを未然に防ぐ配慮も、私たちの仕事の一部なのです。

また、導入いただいた企業様からは、年に一度チェックシートが送られてきます。執務室への入退館管理、録画の有無、パソコンの管理体制、社員教育の状況など細かな項目に至るまで、実施状況の確認が求められるのです。
私たちは、機密書類を受領したその瞬間から、処理完了に至るまで責任を持って管理しなければなりません。

私たちが事例を載せない4つの理由

お客様から「他にどんな企業と取引していますか?」と尋ねられることもあります。
けれど私たちは、その問いについて、具体的な会社名は一切開示していません。
取引先の情報は、お客様にとって最大の資産であり、それを守ることが、私たちの最優先事項だからです。「静かに支える」という選択こそが、顧客第一主義。
それがWELLの考える「沈黙のセキュリティ」であり、情報を扱うプロとしての責任です。

1.公開することで、顧客業務の推測が可能になる

「事例」として企業名を公開することは、まだ出会っていない企業様に対して信頼と安心を与え、選ぶときの判断材料になるでしょう。 しかし私たちは、そこに潜む「見えないリスク」にこそ注目しています。

たとえサービスの詳細を明かさなくても、どの企業が、いつ機密書類の処分を得意とするWELLにお願いしたかを公開するだけで、情報を知る第三者はさまざまな推測を始める可能性があります。

予防的な措置としての導入であったとしても、何らかの問題が起きたから導入したと捉えられることもないとは言い切れません。公開された事実に基づいて、勝手に解釈されてしまうことも脅威だと感じます。

セキュリティ対策を講じているという事実が機密になり得ると考えます。だからこそ、取引先の名前を「営業的な材料」として使うことには慎重であるべきなのです。

2.許可を得たつもりでも、社内の温度差で問題になることがある

「事例掲載、問題ありません」と現場の担当者から承諾を得たとしても、それで安心してよいとは限りません。例えば、広報部門や現場担当者と事前に調整を進め、企業名や導入内容を含む事例記事を制作。
ところが、いざ公開してから法務部門や情報システム部門など、別の部署から待ったがかかるケースが少なくありません。

現代は一度ネット上に公開された記事は、半永久的に残ってしまうというリスクが存在します。
掲載後に削除の要請を受けたとしても、転載やスクリーンショットなどで情報が残ってしまうこともあり、完全なコントロールは不可能です。

こうした「社内の温度差」こそが、後々トラブルにつながる原因になることがあるのです。
本当に関係者全員の合意が得られているのかを確認するための労力を増やすより、「そもそも掲載しない」という選択が最も安全であり、誠実であると考えています。

3.事例掲載が、企業イメージの誤解につながることも

①の理由とも関連しますが、事例掲載によって、取引先の企業イメージに意図しない誤解を与えてしまうというリスクです。

たとえば、「機密文書処理を外部に依頼している企業」として紹介された場合、読み手の中には「過去に情報漏洩があったから導入したのでは?」といった、根拠のない憶測を抱く人がいるかもしれません。

実際には、セキュリティ意識が高く、未然のリスク対策として導入されているケースがほとんどですが、紹介する際はいろいろ省いてしまう部分もあります。
外部からの見え方までコントロールすることはできません。どれだけ意図を正確に伝えようとしても、読み手によって受け取られ方は変わるので間違った憶測が飛びかった後の対処に力を注ぐ労力は別のところで有効に使いたいですね。

4.本質は「支える側」に徹することだと考えている

WELLの役割は、あくまでお客様の業務を裏側から支える「黒衣(くろこ)」であるべきだと考えています。たとえば舞台で主役を引き立てるために、黒衣は決して目立たず、淡々と仕事をこなします。同じように、私たちもまた「誰と取引しているか」を公開せず、静かにかつ確実に業務を遂行することが機密書類を扱うプロの姿勢なのでないでしょうか。
セキュリティ事業において大切なのは、「信用を得ること」ではなく、「信用を裏切らないこと」。
表に立つべき存在としてアピールするのではなく、信頼される企業の背後で、目立たず・黙々と任務を果たすことが私たちの役割なのです。

守秘義務の徹底こそが、私たちの「最大の実績」

事例を示している他社を否定するわけではありません。営業上の有効なアプローチであることは、私たちもよく理解しています。
どの企業が導入しているのかを公開すれば、「こんな会社とも取引しているのか」と信頼感は高まり、導入のハードルも下がるかもしれません。

しかしWELLは、「顧客の情報を守る」と誓ったその瞬間から、守秘の一線を引いています。
・どんな企業と
・どんな方法で
・どれだけの量を処理しているのか
上記の内容は、廃棄処理完了後、お客様にお渡している「機密抹消証明書」にも含まれる内容になります。私たちが担っている業務の詳細には、企業の機密情報が詰まっています。
だからこそ「事例には載っていない」こと自体が、情報が漏れていないという裏返しでもあるのです。

それでも信頼いただける理由があります

WELLでは、実名の事例を出さずとも、以下のような万全のセキュリティ体制で多くの法人から選ばれています。

一軸破砕機による無開封破砕処理

まず、処理の根幹を担うのは、一軸破砕機による無開封破砕処理。
書類が入った箱を開封せず、選別もせず、そのまま破砕するため、人の目や手に触れないまま処理が完了します。これで情報漏洩リスクを最小限に抑えられます。

密封袋+南京錠による安全回収

セキュリティボックス回収時には密封袋+南京錠を使用。
施錠された状態で文書を輸送・管理し、その過程でも一切内容に触れない仕組みを徹底しています。

機密抹消証明書の発行により、ガバナンスにも対応

処理後には機密抹消証明書を発行。
コンプライアンスや監査に対応できる体制を整えており、ガバナンスを重視する企業からも高く評価されています。

その結果として、大手金融機関といった高いセキュリティ基準を求めるお客様にも、長年にわたりご利用いただいています。

まとめ

目立たないという選択は、単なるポリシーではなく、すべてのクライアントに対するリスペクトの証です。
「事例を出せば信頼される」と考える風潮があるなかで、私たちはあえて、「出さないことで守れる信頼」を大切にしています。
事例を出さないからこそ、そこに情報漏洩のリスクがなく、長期的な安心と信頼につながっていく──それが、WELLの基本姿勢です。

株式会社WELL(ウェル) 営業部

ビジネスの中で廃棄される機密書類や、不要になった古紙などを、迅速な回収、安全な再資源化を行なう機密書類処理のリーディングカンパニーの営業部です。