溶解処理とは?機密文書を安全に処分するための基礎知識と業者選びのポイント
株式会社WELL(ウェル) 営業部
会社の総務部や管理部で文書を廃棄するときに、「機密文書を安全に処分したいけれど、シュレッダーでは時間がかかりすぎる」という悩みに直面することがありませんか。
特に年度末や移転・統合時には、大量の機密文書を安全かつ効率的に処分する必要があり、従来のシュレッダー運用だけでは限界を感じている方も少なくありません。
今回は溶解処理の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、そして業者選びのポイントまでを整理します。
あわせて、直接溶解だけでなく「破砕+溶解」という選択肢についても紹介し、セキュリティと現場負荷のバランスを考えるためのヒントをお伝えします。
溶解処理とは?機密文書を“紙の原料”に戻す処理方法
機密文書の処分方法のひとつである「溶解処理」は、シュレッダーのように単に紙を細かく裁断するのではなく、文書そのものを紙繊維の状態まで分解することで、情報を完全に抹消する方法です。
近年では、情報漏洩対策への意識の高まりに加え、環境配慮やCSRの観点からも注目されています。
一方で、「シュレッダーや破砕と何が違うのか」「どんな場面に向いているのか」といった点は意外と知られていません。
まずは、溶解処理の基本的な考え方と仕組みを整理していきましょう。
溶解処理の基本的な仕組み
溶解処理とは、パルパーと呼ばれる溶解釜の中で、機密文書を水と混ぜながら紙繊維の状態までほぐしていく処理方法です。この工程によって紙の原型は完全に失われ、文字や情報を復元することは事実上不可能になります。
処理後にできあがった紙パルプは、段ボールやトイレットペーパーなどの再生紙原料として再利用されます。
そのため、単に「捨てる」のではなく、情報を完全に抹消したうえで資源として循環させられる点が、溶解処理の大きな特徴です。
シュレッダー処理・破砕処理との違い
機密文書の処分方法には、溶解処理のほかにもシュレッダー処理や破砕処理があります。
シュレッダー処理はオフィス内でその場で細断できる反面、1枚から複数枚投入する作業が必要となり、大量処理では時間がかかり、人手にも大きな負担になるでしょう。
また、機器のメンテナンスや更新コストも無視できません。
破砕処理は、業者の工場に設置された大型の刃を使って書類をまとめて裁断する方法です。
ホチキスやクリップなど、ある程度の異物を含んだまま処理できる設備を持つ業者も多く、分別の手間を軽減できるというメリットがあります。
その後、溶解処理を行うことで紙は繊維の状態まで分解され、情報の抹消とリサイクルが一体となった循環型の処理が完結します。
溶解処理のメリット──「確実な抹消」と「環境配慮」を両立
溶解処理の最大のメリットは、文書を繊維レベルまで分解することによる高い抹消性にあります。
原型を残さない“高い抹消性”
シュレッダー処理では、理論上は細断された紙片を組み合わせることで情報が復元される可能性が残りますが、溶解処理では原型を残さないので復元されません。
また、多くの溶解処理業者では、処理完了後に「確かに溶解処理を行った」ことを示す証明書を発行しています。
これは監査対応や情報セキュリティ対策の観点からも重要なポイントであり、第三者に対して適切な管理を行っていることを説明する際の資料として活用できます。
大量文書をまとめて処理できる
溶解処理は大量文書をまとめて処理しやすい点も魅力です。
段ボール単位で回収・処理ができるため、シュレッダーのように1枚ずつ投入する必要がなく、作業時間を大幅に削減できます。
年度末の保管期限切れ文書や、移転・統合時に発生する大量の紙資料など、スポット的に書類が増える場面では特に有効です。
リサイクルによる環境・CSRのメリット
環境面でのメリットも見逃せません。溶解後の紙パルプは再生紙原料として活用されるため、焼却処理と比べて廃棄物の削減やCO₂排出の抑制につながります。
CSRやサステナビリティへの意識が高まる中で、機密文書であってもリサイクルしてるという企業の姿勢を示す要素の一つにもなります。
溶解処理のデメリット・注意点──“向き・不向き”を理解する
一方で、溶解処理には注意すべき点もあります。
分別・箱詰めのルールが意外とシビア
特に現場で負担になりやすいのが、分別や箱詰めのルールです。
多くの溶解サービスでは「紙以外の混入不可」が原則となっており、クリアファイルやバインダー、CD・DVD、大きな金属類などは事前に取り除く必要があります。
実際の作業では、担当者が文書ごとにルールを確認しながら分別を行い、バインダーから紙を抜き取ったりする作業が発生します。
処理量が多くなるほど、この細かな作業が積み重なり、想定以上の工数になるケースも少なくありません。
しかし、異物混入があると、溶解する機械が止まってしまうのでさらに大変です。よくトラブルになるのが、綴じひもです。
また、紙袋でも持ち手だけ素材が違うビニール製のものも混入してしまうと機械に絡まってしまいます。
一度分別ミスをして、溶解前に仕分けや異物除去などの追加の手間が発生すると、次回から受け入れてもらえないという事態になりかねません。
少量処理には向かず、保管スペースの課題も
溶解処理は少量の文書処理には不向きです。
一般的に、ある程度大量の処理を前提とした料金体系を提示している業者が多く、日常的に発生する機密文書をその都度処理したい場合には割高になりがちです。
一定量になるまで社内で保管する必要があるため、保管スペースの確保や、その間の情報漏洩リスクにも配慮しなければなりません。
少量の文書を手軽に処分したい方向けのサービスもありますが、回収して数日保管して、まとめて溶解処理工場に持って行く場合がほとんどです。
一定量がどのくらいかは業者によって違いますが、その間の保管状況に情報漏洩するリスクがないとも言い切れません。
そのため、溶解処理は「今すぐ捨てたい」日常の少量の文書よりも、定期的またはスポット的に大量処理する場面に適した方法だといえます。
溶解処理業者を選ぶときに確認したいポイント
溶解処理を依頼する際には、業者選びが非常に重要です。
まず確認したいのが、セキュリティ体制です。業務実績が豊富か、回収から溶解までのプロセスがどこまで見える化されているのかといった観点から比較・検討する必要があります。
情報セキュリティに関する認証の有無や、処理後に発行される証明書の内容・記載項目についても、事前に確認しておくこともポイントです。
業務委託先の安全性も含めて確認しましょう。
次に、自社の文書の状態に対して、どこまで混入物を許容しているかを確認する必要があります。
ホチキスやクリップ、バインダーの扱い、紙以外の媒体への対応などは業者ごとに異なるため、事前に確認しておかないと運用面でギャップが生じます。
料金体系についても、段ボール1箱あたりの単価なのか、重量制なのか、最低利用量が設定されているのかなどを把握し、自社の処理量や頻度に合っているかを見極めることが重要です。
溶解するだけが方法ではない。「破砕+溶解」という選択肢
溶解処理は優れた方法ですが、唯一の正解ではありません。
事前に破砕処理を行い、その後溶解工程へ進む「破砕+溶解」という方法を選ぶことで、分別の手間を軽減し、処理タイミングの自由度を高めることができます。
特に、年末年始や長期休暇など製紙メーカーが稼働しない期間でも、破砕によって機密抹消を完了させておくことで、保管リスクを大きく下げられる点は見逃せません。
「溶解オンリー」か「破砕+溶解」かを比較し、自社の運用に合った選択肢を持っておくこと自体がリスク対策になります。
溶解処理はプロセスがシンプルでリサイクル性が高い反面、分別ルールが厳しく、少量処理には向きにくいという側面があります。
一方、破砕+溶解は分別負荷を抑えやすく、現場の作業を考慮しながら計画的に処分することが可能です。
どちらが優れているかではなく、自社の文書量や運用体制に応じて選択肢を持っておくことが重要だといえるでしょう。
まとめ
社内で機密文書は、特別なタイミングだけでなく日々の業務の中で発生し続けるものです。根本的な解決には「常設+定期回収」という仕組みづくりが欠かせません。
保管が不要な書類は溜め込まず、日常の中でこまめに抹消する体制を整えることが、最も現実的で安全な情報漏洩対策です。
機密文書の処分方法として、溶解処理は高いセキュリティとリサイクル性を両立できる優れた選択肢ですが、分別ルールの厳しさや少量処理への向き・不向きなど、溶解処理だけに頼るのは心配な面もあるのです。
WELLでは、破砕+溶解を組み合わせた処理を推奨しています。強力な一軸破砕機による無開封・無選別処理により、お客様側では分別・ホチキス外し・バインダー解体といった作業を最小限にできます。
破砕後は溶解・リサイクルに貢献することで、セキュリティと環境配慮を両立。現場の負担を軽減し、ヒューマンエラーの削減につながります。
ダンボールによる機密文書回収をはじめ、溶解処理・破砕処理を含めた柔軟な処分方法をWELLではご提案しています。
「処分方法を一つに決める」のではなく、「選択肢を持つ」という発想で、あなたのオフィスにも無理のない機密文書の効率的な処理とセキュリティ対策のバランスを取るためにも検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社WELL(ウェル) 営業部
ビジネスの中で廃棄される機密書類や、不要になった古紙などを、迅速な回収、安全な再資源化を行なう機密書類処理のリーディングカンパニーの営業部です。

